ワインにおけるパリスの審判とは・・・
時は1976年、世界中のワイン関係者を震撼させる事件が起こりました。
当時、無名だったカリフォルニアワインが世界最高峰と名だたるフランスワインに勝ったのです🍷
その事件はギリシャ神話の「パリスの審判」となぞらえて、タイム誌の6月7日号に「Judgement of Paris」」「パリスの審判」と題し、この試飲会の様子を1ページの記事で掲載しました。
さらに水曜日に「ワイン・トーク」というワイン関係のコラムを載せていたニューヨーク・タイムズ紙は、2週連続で「パリスの審判」を取り上げました。
タイムズ紙の記事は世界中に知れ渡り、ワイン4000年の歴史といわれる中で、ワイン市場に激動が起こる事件となったのです。
パリスの審判の背景
アメリカ独立200年記念の年にパリ万博でワインスクール「アカデミー・デュ・バン」の創始者スティーヴン・スパリュアは、ワインをテーマにしてアメリカを祝うイベントができないかと考え、思いついたのがカリフォルニア産のワインをフランスワインと比べてブラインドテイスティングするという企画でした。
伝統に凝り固まっていたフランスとは違い、当時のカリフォルニアワインは最新の現代醸造学を取り入れ、ワイン生産が活発化していたところでした。
カリフォルニアで当時最高と評価されていたカベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ各銘柄とフランスも同品種で比較テイスティングすることで、アメリカ独立200周年を祝うことにしました。
出品されたワインはテイスティングの直前に旅行したスパリュアが持ち帰ったカリフォルニアワイン24本。フランスの白はすべてブルゴーニュ、赤ワインはすべてボルドーのものでした。
スパリュアさん自身もフランスの圧勝だろうが、カリフォルニアワインが1つでも上位にランク付けされれば、彼らも自信を持つだろうくらいに考えていたんだって😌
パリスの審判の名だたる審査員9名
スパリュアさんの人脈から、ワイン業界に於ける著名人達が集められていました。
○オベール・ド・ヴィレーヌ
DRC（ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ）の共同経営者
○ピエール・タリ
シャトー・ジスクールのオーナー兼格付け委員会の会長
○クリスチャン・ヴァネケ
三ツ星レストラン「トゥール・ダルジャン」のシェフ・ソムリエ
○ジャン・クロード・ヴリナ
三ツ星レストラン「タイユヴァン」のオーナー
○オデット・カーン
ワイン専門誌『ラ・ルヴュー・ドゥ・ヴァン・ド・フランス』の編集者
○ピエール・ブレジュー
AOC委員会の首席審査官
○ミシェル・ドヴァーツ
アカデミー・デュ・ヴァンの講師
○クロード・デュボワ・ミヨ
グルメ誌『ゴー・ミヨ』の販売部長
○レイモン・オリヴィエ
三ツ星レストラン「グラン・ヴェフール」のオーナー・シェフ
パリスの審判の結果
まずは、白ワインのテイスティングから始められました。その結果・・・
1位：シャトー・モンテリーナ 1973（アメリカ）
2位：ムルソー・シャルム・ルロー 1973（フランス）
3位：シャローン 1974年（アメリカ）
白ワインの部でカリフォルニアが勝ったことに審査員は大きな衝撃を受けました。
ワインはフランスそれ以外には無いという考えだった時代に、プライドが高いフランス人審査員たちは赤ワインの部では、命を懸けてフランスを勝たせようとしたそうです。
しかしながら
１位：スタッグス・リープ・ワインセラーズ 1973（アメリカ）
２位：シャトー・ムートン・ロートシルト 1970（フランス）
３位：シャトー・モンローズ 1970（フランス）
という、カリフォルニアの圧勝となりました🍷
スティーヴン・スパリュアさん死去
カリフォルニアワインの可能性を世界に広げ、世界のワイン業界に貢献してきたスティーヴン・スパリュアさんですが、今月2021年3月9日、誕生日を目の前に自宅で亡くなられました。
