ワインの澱を知ろう
ワインの醸造工程で、澱を取り除く作業をしていますが、ヴィンテージワインや若くても無濾過の自然派ワインにはワインの底に澱が溜まっているということがよくあります。ではなぜ、澱が溜まってしまうのでしょうか?
赤ワインの成分であるポリフェノールやタンニン、タンパク質が熟成する過程で結合したためにできるものです。
できたてのワインは渋みや色素などの成分は別々にワインの中で、浮遊しています。年月が経つにつれて、酸素が液体中に入ってきます。それにより、この渋みと色素の成分が引き合い、結合してしまいます。やがて、大きな塊になり瓶の底に澱となって沈澱していきます。
澱があるワインは、グラスへ注ぐとき、乱暴なストロークで注いでしまうと、グラスにオリがどんどん入ってしまい、せっかく熟成させたワインが台無しになってしまう場合があります。
そのために、デキャンダージュでオリを取り除くのですが、すごく古い年代物のワインは繊細のため、デキャンタージュすることでワインに負担がかかってしまい、逆に台無しになってしまう場合があります。不安な場合はお近くのソムリエに聞くなど、判断が必要です⚠️
例えば、下の絵のように銘柄もヴィンテージも値段も全て、同じワインがA店とB店で販売していました。ただ、A店とB店では澱の量が全く違います。
あなたは、どちらの店でワインを飲みたいですか?ちなみに、1本100万円だったとしましょう😌
ワインの管理方法で澱が動かないうようにしていくことができます。
①まずは、購入して持って帰ってきたワインをワインセラーがあれば、ワインセラーの中で立てて、2週間ほど落ち着かせます。そうすることによって、澱が、ワインの底に沈みます。
②2週間ほど経過したら、次にラベルを上にして、ワインを2週間寝かせます。ワインセラーがあれば、必ずワインセラーで保管しましょう。
③そして、また①のようにワインを立て2週間経ったら、また②のようにワインを寝かせる。この作業を繰り返します。
※ワインを動かすときは、優しく丁寧に動かしてください。中の澱が回ってしまいます。
この作業を繰り返すと下の赤く記した部分に澱が固まり、デキャンタージュをしなくても、優しいストロークで注ぐことで、殆どの液体部分を楽しむことができます。
これは、ソムリエの奥義中の奥義だと私の師匠は言って教えてくれました。
ソムリエとして1番大切なことは、何よりもお客様に楽しんでもらうためのワインの管理です🍷✨