ロシアワインのプロフィール
内陸部ではマイナス50度になるところもあり、寒く、厳しい自然環境のイメージが強いロシアですが、主なブドウ産地はロシアの中でも南西部にあるクラスノダール地方です。前回のコラムでも紹介しましたが、フランスのボルドーと同じ緯度に位置する暖かい地域です。
クレオパトラも飲んでいたオレンジワインを産出している、ワイン発祥の地と言われるジョージアと近いタスマン半島のエリアでは、古代からワイン造りが盛んに行われてきました。
クラスノダール地方の他、ロストフ州、スタブロポリ地方、クリミアではブドウ栽培が豊富ですが、ワイン観光においても一番人気の場所はクラスノダール地方に在るリゾート地は一番人気が高いそうです。
ロシアでは、様々なブドウ品種があり、現在では100種類を超えるブドウ品種がワイン生産に採用されています。
製造量ではリカツィーテリ種が全体の45%を占めています。
ロシアワインの歴史
古代ギリシャとの貿易のため、ブドウ栽培とワインの生産は数千年前から行われていたことが、黒海沿岸にあるファナゴリアやゴルギッピアなどの出土品の遺跡から判明しました。
ジョージアを含めて、世界最古の製造地域である証拠だと考えられています。
ロシアにおいて、近代的な商業用ワインの始まりは、レフ・ゴリツィン皇太子がクリミア地方にスパークリングワインの工場を初めてロシアに設立したことが始まりです。1891年、ゴリツィン皇太子は帝国ワイナリーの調査官にも任命され、ソビエト・シャンパンというブランドでスパークリングワインを製造しました。
1917年のロシア革命後、フランスからのワイン業者も入り、徐々にワイナリーが増えていきました。当時ソ連の指導者をしていたスターリンもジョージア出身ということもあり、1930年代は主にコーカサス地方を中心にワイン生産を推進していたそうです。
1940年代から50年代のソビエト連邦時代の反動と、フィロキセラ、さらにペレストロイカの一環として1985年より禁酒運動が進められたことにより、衰退してしまいます。
それにより、優れたブドウ畑のほとんどを失うことになってしまい、同時にたくさんの固有品種が姿を消してしまいました。
追い討ちをかけるように、1991年のソ連崩壊により、ワイン銘醸地のジョージア、モルドバが離脱することになり、新生ロシアでは、ワイン産業は壊滅状態にありました。
しかし、現在ではブドウの国有農園が民営化されたこともあり、ロシアのワイン生産は活気を取り戻しています。まだ、ロシアワインが復興を遂げて世界で認められてからまら、間もないので、あまり、見かけることはありませんが、クラスノストップの活躍もあり、ロシアワインが日本のショップでたくさん販売される日も近いと思います。
テロワール
クラスノダール地方などを中心とした地域は大陸性気候で、比較的温暖な気候ですが、湿度の低い夏と厳しい冬、そして黒海から吹き付ける風により繊細な酸と豊富なミネラルを含むワインになります。
また、厳冬期にはブドウの樹の上から土をかぶせています。
土壌も多様なため、固有品種からカベルネ・ソーヴィニヨンやアリゴテ、シラー、ピノ・ノワールなどの高品質な品種も育てられており、テロワールに優れたエリアとなっています。