メドック地区の格付けワイン
ブルゴーニュと並び世界のお手本とされているボルドーですが、特に有名な制度として知られているのが、「メドックの格付け」です。
メドックはボルドーの中でも高額で取引されるワインが集まる聖地でもあります。
時は1855年、パリ万国博覧会の際、来客のためにワインの格付けがあった方が良いのでは無いかと考えたナポレオン3世がボルドーの商工会議所に格付けを命じたのが始まりでした。
ワインの仲買人の情報と取引価格を総合的に判断して1級から5級までの格付けを行いました。その最上位である1級に位置するのがすなわち、５大シャトーと呼ばれるワインです。
メドックからは60銘柄が選ばれ、17世紀に名声を轟かせていたペサック・レオニャンの「シャトー・オー・ブリオン」が有名すぎたため、例外としてメドックではないオー・ブリオンが1級として選ばれました。
いずれにしろ、61シャトーに選ばれたワインは別格のワインです。その中でも1級に君臨する5大シャトーとは
●シャトー・ラフィット・ロートシルト
●シャトー・ラトゥール
●シャトー・マルゴー
●シャトー・ムートン・ロートシルト（1855年時点では2級でしたが、1973年に1級に昇格）
●シャトー・オー・ブリオン
以上の5つです。
本日のお話はその5大シャトーの中でも筆頭に挙げられるワイン、シャトー・ラフィット・ロートシルトです。
メドック地区ポイヤック村の1番北側に位置しているシャトーです。
場所は「コス・デストゥルネル」と「ムートン・ロートシルト」の間にあります。
ラフィットとは古いガスコーニュ地方の言葉で「小高い丘」を表しています。
格付けが行われていた1855年当時、最も取引価格が高いワインだったことから、筆頭として称されています。
ラフィットとして名付けられたのは14世紀のこと、ポイヤック北部のベルトゥイユ修道院長ゴンボート・ド・ラフィットの1234年の登場からだいぶん時がたってからのことでした。
素晴らしいシャトーとして評判が高まったのは、1716年、ニコラ・アレキサンドル・ド・セギュール侯爵が所有していた時代からでした。ラフィットの始まりはその時代からといっていいでしょう。
ラフィットの歴史は長く、ラフィットを有名にした人はルイ15世に寵愛されていたポンパドール夫人です。
ポンパドール夫人は毎晩開催されていたヴェルサイユ宮殿での晩餐会の場にシャトー・ラフィットを持ち込んだことで、王室御用達のワインとしてその名が広く知れ渡りました。
そのことから、シャトー・ラフィットは「王のワイン」とも呼ばれています。
当時はブルゴーニュワインばかりが主流だったフランス宮廷に、ポンパドール夫人はメドックの素晴らしさを教えた人物です。
その後、ラフィットは貴族たちのステータスとなり、高額で取り引きが行われるようになったのです。
ヴェルサイユ宮殿にアメリカ共和国大使として駐在していた後のアメリカ合衆国大統領トーマス・ジェファーソンもラフィットを愛した1人です。
トーマス・ジェファーソンに関してはこちらのコラムでも紹介してるよ🙋♀️
5大シャトーの中でもラフィットは繊細でエレガントだと称されています。
カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高いため、若いうちは香りも閉じていて、渋さが目立ちますが、熟成させるにつれ、豹変してまろやかなタンニンがエレガントな時をもたらせてくれます。
ラフィットの小高い丘を上り切ったところに、セカンドワインの由来にもなっているカリュアドと呼ばれる大地があります。
そこにはメドックの主要品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンの他、メルローが25％程度、その他カベルネ・フラン3％、プティ・ヴェルド2％の比率で4品種が生産されています。
畑の下層部には第3世紀の石灰質が存在し、上部は風積土と砂利で形成されています。
ラフィットの最も古い区画には樹齢100年以上のブドウの樹も存在します。
ブドウは全て手積みで行われ、300人もの人の手によって収穫されていきます。
ラフィットの平均生産量は約25万本、セカンドのカリュアドは約29万本生産されています。
ファーストワインにはならなかったブドウや若い樹で作られているワインのことです。
ラフィットのセカンドワインとしてカリュアド・ラフィットというワインの存在があります。
1級のラフィットを作る際、収穫されたブドウのうち厳選された3割のみのブドウを使い、生産されています。
カリュアドは残りをさらに厳選した4割から作られる贅沢なワインです。
ラフィットを飲んでみたいけど、高額なワインの為、なかなか手が出せませんが、セカンドラベルのカリュアドなら頑張ればなんとかなるって方は是非どうぞ😊
