古代ローマ時代からワイン造りをリードしてきたイタリア
イタリアは古代から「エノトリーアテレス」ワインの大地と呼ばれるほど、ワインのブドウ造りに適した国です。その歴史は古く、古代ローマ帝国時代に遡り16世紀まで世界のワイン造りをリードしてきた歴史を持ちます。
ワイン用品種だけで430種類以上もあり、南北に長い特徴的な国土を生かし、バラエティ豊かなブドウが育っています。
そして、イタリアワインには古代ローマ時代から生き残っているワインが数多くあり、歴史を味わえる楽しみもあります。
古代ローマ時代からの生き残りが楽しめるイタリア
イタリアには数あるワインの歴史的ストーリーが残されています。
まず1つは西暦79年8月24日のヴェズーヴィオ火山の噴火で廃墟になったポンペイの民家の壁に「グレーコワインでもお前の冷たい心を温められないだろう」と若者の嘆きが書かれているストーリー。このワインは今でもカラーブリア州で健在です。
2つ目は同じく西暦79年のヴェズーヴィオ火山噴火同日、ヘラクラネウムの港に停泊中だったローマ艦隊の司令官プリニウスが救援のため上陸するが遭難してしまいます。その時の「博物誌」に出てくる「エナンティウム」ランブルスコも健在です。
ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの皇后リヴィアが好んでいたという甘口赤のレチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラも歴史を超えて現在の人たちからも人気のあるワインです。
そして、ユリウス・カエサルもワインの魅力に虜になっていた人物の1人です。
ユリウス・カエサルのコンスル就任披露宴のワイン
時は紀元前100年、古代ローマ最大の野心家と言われるユリウス・カエサル(シーザー)が生まれます。彼は軍人であり、政治家であり、文筆家でした。
そんな彼は、ワインやビールを好み部下に振る舞っていたと言われています。
彼はガリアに遠征し、全域をローマの属州とした功績があります。
そして、彼はガリアの中で、現在のフランスワインの名産地ロワール、アルザス、シャンパーニュ地方などにも訪れた記録が残っており、ここでワイン造りの基礎を築いたといわれます。
カエサルの名が由来となっている村もアルザス地方に李、「カイゼルベルク」というこの地ではワインが楽しまれています。
ゲルマン人が北方で自給自足のような生活を送っていた時代、ローマ帝国では地中海全域を支配していました。
高度な文明を持つローマ人にとってお酒といえばワインでこの時代からオリーブやブドウも良質なものを造ることができていました。保存性が悪いビールは、ローマでは必要とされていませんでした。そんな中、ローマ皇帝ユリアヌスは、ゲルマン人からビールを献上されとき、「美酒の誉れ高いワインとは、なんたる違いか。これはまるで、山羊の悪臭がする!」とビールを批判したそうです。
しかし、ローマ帝国を築いた英雄カエサルは、7年間にわたるガリア遠征の時、ガリア人やゲルマン人と触れ合い、彼らとともにビールも慣れ親しんでいたそうです。
彼は紀元前49年、ローマ侵攻の際には部下の労をねぎらう宴会でビールをふるまったそうです。
そんなカエサルがコンスル(執政官)み就任したときに自ら選んで就任披露宴で提供したワインが今でもシチリアに健在する「マルメティヌム」です。
現在とは品種も醸造方法も異なりますが、3方を海で囲まれた素晴らしい自然環境で育つブドウで作られた、この地のワインは昔から天国のように美味しいと語られています。
カエサルは、闘いの前に戦士たちのエネルギー源としてこのワインを飲ませたそうです。
魚料理やパスタと共にカエサルと一緒に飲んでる気分に浸ってみたいものです。