ワインの豆知識

日本で始めてワインを飲んだ人は織田信長なのか?

日本のワインの歴史



日本に始めてワインが持ち込まれたのは1543年、戦国時代でした。はじめは病になった際の薬として飲まれており、一般的にお酒として楽しまれるようになったのは織田信長らが「珍陀酒(チンタ酒)」と呼ぶようになった戦国末期のことでした。しかし、残念ながら1587年、豊臣秀吉の禁教令によりキリスト教が禁止され、ワインの普及が衰退してしまい、日本においてワインの樹が植えられたのはその後300年も経ったあとの明治維新頃の話になります。

始めてワインを口にしたのは織田信長だという説がありますが、いつ口にしたかなどの記録はなく、諸説あります。

もし、仮に織田信長が飲んだとしても、ポルトガルから来た真っ赤な不思議な飲み物を毒見役に飲ませず、始めに信長自ら飲むということは考えにくいかな・・・?と思ってます。

しかし、信長は瓶に入れられた真っ赤な飲み物を見て「血のようだ」と表現していたようで、好奇心旺盛な織田信長がワインを飲んでいたというのは間違えない歴史だと思います。



フランシスコ・ザビエル

1543年にヨーロッパ人として初めて日本に上陸したのがポルトガル人でした。

フランシスコ・ザビエルはポルトガル王ジョアン3世の依頼でインドのゴアに派遣され、その後1549年に日本に始めてキリスト教を伝えたことで有名です。

その際、日本やインドで宣教を行い聖パウロを超えるほどの多くの人々をキリスト教信仰に導いたとされ、カリスマ的な存在でした。

上陸からしばらくたって、ザビエルは同年9月29日、薩摩国の守護大名である島津貴久の元に数々の献上品を持って参上しました。その中の1つに美しいガラスの瓶に入った赤き美酒を差し出したそうです。

ジョアン・ツズ・ロドリゲスの「日本教会史」にはこの時のことが記されており、ザビエルはキリストの血を象徴する「赤き酒」すなわち「赤ワイン」は、キリスト教に帰依した人の洗礼のために飲んでもらう、ブドウを醸造した酒である──と説明し、島津公に味わってもらった、と記されています。

これが、日本人がワインを飲んだ最初の記録になっています。

この頃のザビエルの書の中に「日本の主食は米であるが、その米から酒を造る。しかし、そのほかに酒というものはない」と書かれてあるそうです。

また、同じく宣教師として日本を訪れたルイス・フロイスも著書「日本史」の中で、「酒は米から出来ているが、ブドウから造られたワインはヨーロッパからの輸入品で、これはミサ用として使うブドウ酒か、大人用の薬として用いるだけである」と書かれてあります。



当時のワインはどのような味わいだったのでしょうか

織田信長や戦国大名に献上されたワインはポルトガルワインでした。

しかし、そのワインの種類までは明らかになっておりません。

ザビエル一行はインドのゴアを出て、4ヶ月間の厳しい航海の果て、やっとの思いで日本に上陸したそうですが、その間、赤道を通っています。

ワインは繊細な飲み物なので、陽に当たったり、高温にさらされてしまうと、劣化してしまいます。

常識的に普通のスティルワインだったら健全な状態だったというのは考え辛く、酸味が強い劣化ワインだったという可能性が高いです。

しかし、ポルトガルは酒精強化ワインのポートやマディラが有名です。

これらは保存性に優れており、糖分が高いため熱や酸化にも強いという特徴がありますので、甘いもの好きだった信長もこれだったら、本当に愛飲していたかもしれません。

ポルトガル語で赤ワインはヴィニョ・ティントです。

このヴィニョ・ティントのティントから信長たちは「珍陀酒(ちんたしゅ)」と呼ぶようになったと言われています。

 


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kamiyu
🍷JSA認定ソムリエ取得 ☕️コーヒーコーディネーター取得 🫖ティーコーディネーター取得 現在もソムリエとして世界中のワインを中心に勉強中✏️