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中国ワインの概要
中国国内には900以上のワイナリーがあり、生産量、栽培面積、消費量が毎年世界10位以内に入るほどのワイン大国です。
日本市場であまり中国ワインを見かけない理由の1つとして、中国では1980年代から、増加する中国人のワイン人気に対応するため、中央と地方政府の指導の元、主に国内で消費されるため、海外にあまり輸出されないという事実が挙げられます。
中国ワインの歴史 実はヨーロッパよりも古い時代からワイン生産が行われていた
Wikipediaによれば、最先端の研究で中国のブドウ栽培とワイン製造は紀元前7000年にはすでに始まっていたという事実が人類学者パトリック・マクガバン氏によって科学的に証明されているそうです。
しかしながら、中国のワインは新世界とみなされており、この定義の位置付けは事実を無視する誤った呼び名であると抗議の声も寄せられています。
旧世界、新世界に関してはこちらのコラムで紹介してます😊
さらに別の研究でも紀元前7000年頃からワイン、ビールなど様々なタイプのお酒が存在し、江南省の嘉湖村ではワインの残骸を示す陶器の痕跡が発見されたと述べられています。
司馬遷の『史記』ではフェルガナ(現在のウズベキスタン)について記述した大宛伝には「大宛の左右、ブドウを以て酒と為す。富人、酒を蔵し万余石に余り、久しきもの数十歳を敗れず」と数十年長持ちするブドウで造った酒があると残されています。
5世紀〜10世紀の唐の時代になるとワイン造りは本格化したようですが、明の時代になって紹興酒造りがメインになったこともあり、ワイン醸造が低迷し、その後100年間存在の薄いものとなってしまいました。
現在の中国ワインの状況
影を潜めていたワイン生産は19世紀になり、近代的なワイン工場で復活を遂げていきます。
1949年の中華人民共和国の成立後から徐々に、ブドウとワインの生産量は拡大し、1954年の第1次5カ年計画では重要なプロジェクトの一つに、北京郊外の新しいワイナリーの設立などワイン生産に関して野心的なプロジェクトが盛り込まれていましたが、破滅的な失敗によって、ワイン産業がまた存在の薄いものとなってしまっていました。
文化大革命の後、1978年12月の鄧小平の「改革開放」が中国ワインの再出発となり、海外からの投資家も集まり、この時代に現在でも君臨するワイナリーが作られ、その後は品質も向上しています。
中国で栽培されているブドウは9割が黒ブドウで、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローが主要品種です。
蛇龍珠(シャーロンジュー)というカベルネ・フランの一種とされる中国の固有品種もあり、豊富な果実味とタンニンが特徴的な品種です。
その他、ローズハニーというバラの香りを持つ特徴のある品種なども人気の1つとなっています。
海外市場で中国ワインを見かけないもう1つの理由
前述で、中国ワインは国内でほぼ消費されるので、あまり市場で見かけることはありませんと述べましたが、もう1つの理由としては、このように歴史もあり、発展を遂げてきた中国ワインですが国際的な評価があまり良くありません。
中国国内でも国内消費用を最優先としているため、品質よりも量産を重視している点、さらにはワインはブドウによって作られるアルコール飲料だという法律が他の国と違ってないため、りんごや穀物、砂糖水にハーブなど、様々なものを添加して売られているというのが事実です。
近年、高級ワインが市場で高騰した理由
中国国内で高まるワイン人気は中国産のワインだけでは収まらず、ヨーロッパ、アメリカから中国へのワインの輸出量も急増しています。
2007年から2013年の間に輸入量は7倍以上に増加し、富裕層からの指示の高い高級ワインは特に人気となっており、ヨーロッパ、アメリカをはじめ世界中のワインメーカーが中国市場に自社製品を売り込んでいます。
このように中国がワイン市場に介入したことにより、人気の高級ワインはさらに値上がりし、手が出しにくい存在となってしまいました。